扉を開くと・書架

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扉を開くと、壁一面に本が並んでいた。
バサバサ。
本が落ちる音が聞こえた。きょろきょろと見回すと、誰かいる。
小学生くらいの少年。長めの黒髪。白いTシャツと紺色の七分丈ズボン。
「いらっしゃい。 めずらしいね、お客さんなんて」
彼はその見た目に似合わない落ち着いた声色で続ける。
「ここに居る本たちは、ちょっと変わってるんだ」
本たち? 変わった言い方だ。
「本たちって、何か生きてるみたいな言い方だね」
そう話しかける。
「うん、生きてるよ」
彼は平然と話す。どういうことだろう。

『あら、珍しいわね』
僕のすぐ隣で声がする。いつの間に? ぎょっとしてそちらを見る。
『そんなに驚くことかしら?』
声の主は、棚に収められていた本だった。ページをパクパクと器用に動かしながら話す。

「そうだ。せっかくだし今からお茶でもどう? お菓子もあるよ」
そう言った少年の横で、本がいらっしゃいと微笑んだ。
ファンタジー
公開:19/08/20 20:43
更新:19/08/27 22:07
#扉を開くと

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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