サルベージ

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いつもの散歩コースを歩いていると、街灯に照らされた闇の向こうから、声のようなものが聞こえてきた。

『メー…ー、…ーデー、メ…デー。…ちら……W…EE…、……E……、……ET……』

声は掠れ掠れだけれど、確かに聞こえた。遭難信号だ。でも、なぜこんなところで?
僕は辺りを見回した。ここは海でも空港近くでもないし、そもそも無線機だってどこにもない。
変だとは思ったけれど救助の声を無視することもできず、僕は声を頼りに道を進むことにした。次第に位置の情報だけはよく聞こえるようになった。

『角を左折、50メートル先、5分』

遭難信号にしては位置の伝え方が妙だ。まるで僕のいる場所を把握しているみたい。

辿り着くと、そこはコンビニだった。
僕は急いでドアを押し開けた。


『メーデー、メーデー、メーデー。こちら
SWEETS、SWEETS、SWEETS……期限が迫りつつある。至急救出されたし』
その他
公開:19/08/22 20:39
更新:19/08/23 05:15
壬生乃サルさん お誕生日おめでとうございます

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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