盆の終わりの風物詩

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盆が終わり、現世から亡者が帰って来る。地獄ではその受け入れに大忙しだ。
現世に戻った亡者共はその殆どが何かを現世から持って帰って来る。
それが家族の写真やこちらでは食べることの出来ないお菓子等なら、地獄としてもまだ許容しよう。
だが愛用の品は置いていってもらう。さすがにそれがなくなれば遺族が不審に思うからな。
中には現世に残してきた家族と連絡が取りたいからとスマホを持ち込んだり、鬼を買収するために賄賂になりそうな金品を持ち込む輩がいるからタチが悪い。
それらを地獄に持ち込むのは御法度である。
だが、どうしても持ち込みたいのだろう。亡者の中にはそうした品々を飲み込むことで体内に隠し、検問を通ろうとする輩が後を絶たない。まるで麻薬の密輸入だ。
だがここは地獄。現世ほど甘くない。
鬼は一切の慈悲もなく、亡者の腹を切り裂いては中を確認する。
悪く思うな。いつの世も、人は腹に一物を抱えているものだ。
公開:19/08/17 19:05

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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