ぼくはあらし

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ぼくは海の上でひゅん!と急ぎ足で回る。
ぐるぐる ひゅんひゅんひゅん。
段々と勢いを増し、大きくなって、周りを黒色に染める。
「ごおぅ、ごおぅ」ぼくは唸る。
木々をなぎ倒す。ぼくはそれを飲み込む。
どの位飲めばいいんだろう?
ぼくは何だかわからなく、叫ぶ。泣く。
「ウオーー!ウオーー!」
ぼくは走る。地を木を風を切るように走る。
下から舐めるように全てを洗うように。
彼方此方をくるくるくる回る。
草も、ぼくに合わせて体をくねらせ、くるくる回る。白い犬のように、その場を地均しするように、そこを地団駄する。

ぼくは自由に大きくなった。

あらゆるものが、ぼくのせいで急かされ、心が高ぶる。
「いなくなれ!」ってみんな願うんだ。
でもぼくは何を捉えるのか、何を手放すのかわからない。
ただ大きなぼくの身体の中で太陽もしょんぼりした中、ただ駆け巡るのだ。
ただ駆け巡るのだ
ただ駆け巡るのだ。
ファンタジー
公開:19/08/20 06:34
更新:19/08/20 08:25
朗読用ショートショート

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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