ラミネート

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「もう知らない!」

些細なことで彼氏と喧嘩。やけ酒の缶ビールをあおる夜。

「また喚いて…。聞かされる身にもなってよ」

ベッド脇のウサギのぬいぐるみの…口が動いた。

「しゃ、喋った!」
「落ち着いて…。あなたのそのザコなメンタル、強くしてあげる。…ラミネートするの」
「え?」
「じゃあ早速ーー」

…あれ?寝てた。さっきのは夢?

つけたままだったテレビではバラエティ番組。アハハ、ウケるー…はずが、私、無表情。

え…感情がない!まさかメンタルラミネートしたから?ずっとこのままなの?もう泣きたい…はずが、私、無表情。

ふいに電話が鳴る。彼氏からだ。

「もしもし…何よ今さら…」

私はいまや感情のない女。こんな電話もらってもね…

何かが裂ける音。

「…会いたい。私も、今すぐ!」

部屋に残されたウサギが呟く。

「やれやれ、ラミネートしても意味がない…まだ、スキがあるなら」
ファンタジー
公開:19/08/19 22:20
更新:19/08/20 09:46
スクー メンタルラミネート

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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