記憶
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久しぶりに通った道にその木はあった。
小学校の帰りにみんなでいつもかわりばんこにこの木に登り、途中の幹が二股になっているところから学校を眺めながらワイワイとおしゃべりをしたものだった。
「わぁ…懐かしい…」
木は私の記憶よりも太くて、でもあの二股のところはよじ登らなくても届くところにあった。
近寄ってすこし背伸びをして二股の間から小学校のあった方角を眺める。
放課後の小学校には下校の音楽が流れ、遊んでいた子どもたちが帰り支度を始めている。
女の子が泣いていた。少し離れたところで笑っているあの子に何かされたのだろうか…
あれは私?
ひとりの男の子が赤い袋を持って駆け寄って来て女の子に渡した。
そうだ…
夫はあの頃から優しい人だった。
さあ帰ろう。
帰って夫の好きな煮込みハンバーグを作ろう。
そして、ごめんなさいって言おう。
学校の跡地に建てられたスーパーに向かって私は歩き始める。
小学校の帰りにみんなでいつもかわりばんこにこの木に登り、途中の幹が二股になっているところから学校を眺めながらワイワイとおしゃべりをしたものだった。
「わぁ…懐かしい…」
木は私の記憶よりも太くて、でもあの二股のところはよじ登らなくても届くところにあった。
近寄ってすこし背伸びをして二股の間から小学校のあった方角を眺める。
放課後の小学校には下校の音楽が流れ、遊んでいた子どもたちが帰り支度を始めている。
女の子が泣いていた。少し離れたところで笑っているあの子に何かされたのだろうか…
あれは私?
ひとりの男の子が赤い袋を持って駆け寄って来て女の子に渡した。
そうだ…
夫はあの頃から優しい人だった。
さあ帰ろう。
帰って夫の好きな煮込みハンバーグを作ろう。
そして、ごめんなさいって言おう。
学校の跡地に建てられたスーパーに向かって私は歩き始める。
その他
公開:19/08/19 10:00
更新:19/08/20 12:08
更新:19/08/20 12:08
のんびりゆるぅり書いてみたいと思います。
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