まおう　が　しょうぶをしかけてきた！

　私は魔王。ヒトの時代を終わらせ、魔が支配する時代の基礎を創った者。
　お互いが裏切り、憎しみ、親しいはずの隣人同士でさえ、些細なことで殺し合う。そんなこの世のシステムを創った者。
　私が歩けば、知性の無い魔獣すら道を開ける。
　私が言葉を発せば、人を惑わし、狂わす術にたけた悪魔すらその心を狂わせる。
　私が命ぜば、孤高の高みに位置するドラゴンですら平伏し、道化のように踊って見せる。
　だが、ただ一人、私の思うようにならない存在がいる。それが貴様だ。異界の勇者よ。なぜ、貴様は何の関わりもないこの世界に召喚され、理不尽に戦いを強制されてなお、ヒトなどという小さな存在のために戦う？
　…………
　そうか、私には到底理解できぬ次元の話だな。ならば、私も見せよう。貴様との、全てにおける次元の違いを。