線香花火の男

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 「チアキちゃんって子が線香花火がこわいっていうから並んで手をもっててあげたの。パチパチしてきれいだった。けどチアキちゃんは目をつぶっててブルブルふるえてて。『寒い?』って聞いたら『こわい』って。『何がこわいの?』ってきいたら『タモツさん』って。『もう来てる』って。私びっくりして線香花火がジッて落ちたら、お肉や毛が焼けたみたいなにおいがして、「クッ」ていう男の人の声がした。チアキちゃんが『キャー』って言って、またジッて、毛がこげるにおいがして「クッ」ていう同じ声がした。下を見たら、穴だらけで真っ黒なおでこがあった。
 お父さん達が『待てー』って言って、川にとびこむ音がした。足や浴衣が真っ黒になってた。
 タモツさんは、チアキちゃんたちの線香花火が落ちるのを体で受け止めて「クッ」っていう人なんだって。
 お父さんに『どうしてそんなことするの?』って聞いたら『そういう妖怪なんだよ』って言った」
その他
公開:19/08/17 11:01
更新:19/08/17 11:28
シリーズ「の男」

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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