仁義なき遊戯

屋台の水槽の中で僕は震えていた。これから狩りのターゲットにされるのだ。
不意に隣から話しかけられた。
あんた、今日が初めてかい？確かに奴らは容赦ない。けど、去年一夏逃げ切った早逃げマックとは俺のことだ。コツを伝授するから、よく聞きな。
まず、できるだけ真中を泳ぐんだ。奴ら、端へ端へと追い詰めて狩ろうって魂胆だから、端は危ねえ。あと、もし奴らに攫われても、諦めず思い切り跳ねろ。ありゃ結構やわだから、破けて生還した仲間…
その瞬間水中を激震が走った。

気づいたら、さっきまで話してた相手が見当たらない。上から声が降ってきた。
「最初から大きいのいった！」
「まあ、見てろって」
精一杯上を見ると、能書き垂れてたお隣は狩られて、袋の金魚になっている。

僕は心の中で叫んだ。
先輩、おかげでこのゲームのキモがわかりました。
スイッチ入りました。
僕、このサバイバル・ゲームで勝ち残ってみせます！