馬鹿と真面目は紙一重

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勇者は(魔物殺しの大剣)を空に掲げると瀕死の魔物に言い放った。

「お前が最後の魔物だ! お前を倒して平和な世界を手に入れる!」

 すると魔物は、不敵な笑みを浮かべながら勇者に問いかけた。

「本当にそれでいいのか? ぬしは必要悪という言葉を知らぬのか?」

「どういう事だ!」

「ぬしは、ワシを倒すと町の皆から崇えられるであろう。しかしどうだ、その(魔物殺しの大剣)を作った武器屋の商人はどうなる? 平和な世界に武器屋? いらない、いらない。職を失い、生き倒れるのが目に浮かぶ」

 勇者は、武器屋の商人が店内に並ぶ(魔物殺しシリーズ)を意気揚々と勧めてきた時の事を思い出した。

「クソ! 次はないからな!」

 勇者は、(魔物殺しの大剣)を(魔物殺しの大剣入れ)に収めると(魔物殺しの手袋)をはめ、(魔物殺しの手綱)を引き、(魔物殺しの馬)に乗って魔物の前から去って行ったのだった。
青春
公開:19/08/17 01:36
更新:19/08/17 01:41

恋するメンチカツ( 兵庫県 )

多くは語らぬ世の情け、見て感じ取り、考えよ!
次世代喜劇の執筆家、恋するメンチはカツの味!
恋メン劇場いざ、開演!!

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