ナチュラルな毒

1
6

それは私たち人間だけが作成できる無味無臭の毒。
容易に作成でき、服毒した相手を如何様にも苦しめることができる。

ある日、私は友人に毒を盛った。
軽い気持ちだった。毒を盛るのは初めてではなかった。
だから何も感じていなかった。

次の日、友人は失踪した。
そのとき初めて私は「毒」を使っていることを自覚した。
あの日服毒した友人の姿が頭の中から消えなかった。

毒に蝕まれているのは友人だけでなく、私自身もだった。

夢か現か、私の目の前には友人がいた。私が毒を盛った友人だ。
顔がよく見えなかった。
今、どんな顔をしているだろうか。
私はどんな顔をすればいいのだろうか。

どうすべきか分からないまま、友人が私に何かを差し出した。
何かは分からなかったが、私はそれを飲み込んだ。
友人の毒でも飲み込むことが私の義務だと思ったからだ。
目を閉じ、体内の流れを想像してみる。

毒が体を巡っている。
その他
公開:19/08/16 23:51

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容