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少年は困っていた。

 母親が病で倒れたが、お医者さんに看てもらうにも、そのお金が無いのだ。

 溜め息をつく少年。

 そんな時、ふと少年の脳裏に(わらしべ長者)の話が浮かび上がった。

 これだ! と思った少年は居ても立っても居られず、

「お母ちゃん、待っててね」

 とだけ言い残し、朝食のバナナを手ると家を飛び出した。

町へ繰り出した少年は早速、青年に声を掛けられた。

「君が持っているのはバナナかい?」

「良ければ、どうぞ」

「いいのかい? なら、御礼にこのペンダントをあげるよ」

 少年は、この方法で何十回と物々交換を続けていった。

 ーーそれから5時間後

「お母ちゃん、ただいまー」

「あぁ、おかえり」

「お母ちゃん聞いて聞いて」

「なんだい?」

「バナナが豪邸になったよ!」

「あぁ、そうかい……」

 ーー人間は欲をかく程、本質を見失う。
その他
公開:19/08/16 13:33
更新:19/08/16 13:36

恋するメンチカツ( 兵庫県 )

多くは語らぬ世の情け、見て感じ取り、考えよ!
次世代喜劇の執筆家、恋するメンチはカツの味!
恋メン劇場いざ、開演!!

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