そして祭りはつづく

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滅んだはずの地球で目覚まし時計が鳴っている。
その話を聞いたときは嬉しかった。
今も変わらず咲いているひまわり。
その衛星写真には胸がふるえた。

私の父は地球への帰還を決めた。
先祖代々の神輿を置き去りにしたことを、父は悔やんでいた。
世界中の国が帰還反対を表明し、私も父を説得したが、母だけは喜んでいた。それで十分だと父は言った。無謀な旅になる。戻れる保証はない。父の覚悟に、かつての仲間たちが宇宙船を用意した。
皆が祭りの再興を願っていた。
準備が進むにつれ、命知らずの祭り好きが集まってきたが、父は彼らを巻きこむわけにはいかないと、ごく限られた仲間と共に消息を絶った。私に「あとは頼む」とだけ残して。

あれから35年。
遺体のない父の葬儀を済ませた盆の夜、母と私は縁側で、青い地球を見ていた。
緊急放送で、地球から祭り囃子が聞こえたと報じている。
「俺も行くよ」
この母の笑顔を伝えなきゃ。
公開:19/08/16 11:16
更新:19/08/16 19:28

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