赤い糸の向こう側 #3

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上野くんが意識不明になって一ヶ月。噂を立てられるのが嫌で気丈に振る舞っていたけど、私の精神はもう崩壊しそうだった。私は上野くんの事を何にも分かっていなかった。というより、私が想いを寄せていた相手は私を呼び出して自殺するところを見せる様な人だった、というのがどうしてもやりきれなかった。
小学校を卒業する時、私が好きだったのは神田くんだった。
帰り道、私は神田くんの家の前に行った。自宅の近くだから、無理はなかった。
月が出る頃、神田くんが現れた。
彼はーー随分違っていた。小学生の頃の輝きはなく、上品な感じも優しい瞳もなく、冷たい目と締まりのない身体をくっつけていた。
がっかり…なんて、してない。今更会ったって迷惑だろうし、そもそも彼は奥手なのだ。彼は男子校に行った筈だが、成程男子校に行くとああなるのか。私は共学で良かった。
あいつみたいになんない様にしないと。私は上野くんのいる病院に向かった。
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公開:19/08/13 18:55
更新:22/03/07 13:55
赤い糸の向こう側シリーズ

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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