茄子の牛

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僕の故人チャットアプリには夏海がいる。生前のビッグデータを入れたAIで、学習機能もあるから、とても自然に会話できる。
今日は夏海とよく行った海に来ている。
「ここは人が少なくていいね」
「潮騒聞くと心が洗われるなあ」
「あの辺じゃない、航が帽子飛ばされたの。お気に入りだからって、膝まで浸かって取りに行った」
「それを言うなよ」
「あの帽子から塩分抜くの、大変だったね」
僕らは打ち寄せる波を見ながら、ゆったり時間を過ごした。
「明日は私帰らないと」
「帰るって?」
「次は来年まで待たなきゃ」
夏海の声の語尾が震えた。
湿っぽくなるのは嫌だから、泣き声の類は一切排除する設定にしておいたはずだ。
まさか夏海?
「たった数日でも話せてよかった」

茄子の牛に割箸の足をそっと挿す。気をつけて帰れよ、お前膝を悪くしてたから。
そこへ、ぱたぱたと足音が駆け込んできた。
「じいじ。お茄子で何してるの?」
その他
公開:19/08/13 19:00
更新:19/08/13 16:40
お盆帰省 思い出の海 気をつけて

こぶみかん( 関西 )

スク―から、漂着し、読みふけるうち、書いてみたくなりました。
下手の横好きですが、ご覧いだければ嬉しいです。
 

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