皿と菊次郎

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夏限定で細々と運営する海の家。
私と学生バイト一名で十分回せる。
特に取り柄のないうちの数少ない自慢が夕食を盛る皿だ。シンプルな料理もすごく映えるし、何より義父母からの結婚プレゼントだ。
ある晩キッチンの棚卸しをしていたら、この10枚セットの皿が何回数えても足りないことに気づいた。
1枚、2枚、3枚、…9枚。9枚しかない。
バイトの菊次郎に訊いたら、実は落としちゃってとしれっと言った。バイト代で弁償してよと言ったら、へへへと笑うだけだった。
イマドキの若者は…、おっとこれじゃ私が年寄りみたい。

それより困ったのはその直後、菊次郎が失踪したことだ。
無断欠勤して連絡もとれず放置していたら、警察が行方不明だと事情聴取に来た。
もうお盆も終わるから、私一人でも何とかなるが、次面接する時はもっと人物を見よう。

井戸で冷やしておいた西瓜を取りに来た。
菊次郎の黄色い長髪がそよそよとゆらめいた。
ホラー
公開:19/08/15 19:00
更新:19/08/17 05:08
夏のバイト応援 おしゃれ皿 冷やし西瓜

こぶみかん( 関西 )

スク―から、漂着し、読みふけるうち、書き始めましたとさ。
季節感を醸せればいいなと思っています。
 

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