先輩の恋人

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憧れの先輩がいた。恋人になれたらどんなに幸せだろうと思っていた。
でも先輩には既に恋人がいた。
妬ましくてたまらなかった。
あんな奴、いなくなればいいと思った。
本名も知らない先輩の恋人を呪うようになった。
「先輩の恋人死ね 先輩の恋人死ね 先輩の恋人死ね」と強く念じ続けた。

ある日突然、先輩の恋人は死んだ。
嬉しかった。でも、悲しむ先輩の前ではそれを隠し、ひたすら親身に話を聞き、励ますことに注力した。

時間はかかったけど、先輩は閉ざしていた心を開き、笑顔を見せてくれるようになった。
そうしてある日、こう言ってくれた。
「恋人になってくれますか?」
ついに、この日が来た。一も二もなく受諾した。

その途端、頭が割れそうなほど痛んだ。
到底立っていられず、倒れ込んだ。先輩の悲鳴が聞こえたけど、答える余裕はもはやなかった。
薄れていく意識の中、気が付いた。

今は自分が、「先輩の恋人」だ。
ホラー
公開:19/08/11 23:11
ホラー 妬み 恋人

PURIN

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