扉を開くと・雨雲

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扉を開くと、部屋の中には様々な形の雨雲が並んでいた。
父方の叔父が集めたコレクションだという。
部屋全体を包み込む、雨粒が落ちては弾ける音。
ぽつぽつ、ざあざあ、ぼたぼた。
音が部屋の壁に反響して、外とは全く別の世界のようだ。
「どうだ? 面白いだろ?」叔父さんはそう言って、手に持った雨合羽を貸してくれる。
ありがとう、と言って受け取ってから
「すごいね」と僕は呟く。
雨粒のコレクション。始めて聞いた時は全く想像が付かなかったけれど、いざ目の当たりにすると不思議な空間だな、と思った。

叔父の部屋で雨のコレクションを見せてもらった数日後。
雨が降っている下校中、あることに気付いた。
空に浮かぶ雨雲の一か所が綺麗にくり抜かれたように、綺麗な青空が覗いている。
もしかしたら叔父さんはあそこから雨雲を持って行ったのかもしれない。

気付いたら僕は、その穴に吸い込まれるように駆け出していた。
ファンタジー
公開:19/08/11 19:28
更新:19/08/27 22:06
#扉を開くと

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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