ねじれ

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壁に貼られたたくさんのポスター。それを一枚一枚剥がしていく。

僕と妻は、ある漫画のファンサイトのオフ会で親密になり、交際を重ね結婚に至った。「本当に漫画みたいな話だな」仲間からもそう祝福された。

剥がしたポスターを眺める。これは、その漫画がアニメ化された時のクライマックスシーンだ。

アニメならば、そこでエンドロールが流れて終わり。だけど、現実はそうじゃない。クライマックスの後も人生は続く。決して綺麗事だけでは乗り切れない日常が待っている。

僕達にとっては、結婚がクライマックスだったのだろうか?

少しずつうまくいかなくなってしまった。お互いの共通項は愛せても、違いを愛することはできなかった。

二次元の世界では、確かに交わっているように見えた二人。でも、三次元では、ねじれの位置だったんだなーー。

夕暮れの陽射しが、大きなバッグに入った妻の亡骸に、じりじりと容赦なく照りつけていた。
ホラー
公開:19/08/11 19:00

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
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