雲飴(くもあめ)

12
19

大好きな夏祭りの季節がやってきた。近所の神社で盆踊り大会をしていたので行ってみた。
境内では、数多くの夜店が並び大賑わい。その中に綿飴屋があった。
「うちの綿飴は、他とは違う雲飴だよ!」
威勢のいい声に耳を疑い、屋台の前で立ち止まった。
いわし雲、うね雲、おぼろ雲、霧雲、しらす雲、入道雲、ひつじ雲、綿雲ーーメニューに雲の名前が書いてあった。
「そこの旦那、どの雲飴にする?」
「綿飴とそっくりみたいだけど、夏だし入道雲にしてみようかな」
「この独自開発した雲飴機に、秘伝の水飴のほか、レモン汁を加えると雲飴の出来上がりさ」
あっという間に入道雲の形をした綿飴、いや雲飴が出来上がった。
一口舐めてみると甘酸っぱい味がした瞬間、雲飴が溶け出し、ざーっと大雨のように割り箸から地面へ流れ落ちてしまった。
「旦那、すまないね。入道雲は、積乱雲とも呼ばれ、今の季節だと酸性の夕立やゲリラ豪雨を降らすもんで」
その他
公開:19/08/11 17:25
更新:19/08/11 17:30
夏祭り 盆踊り 屋台 夜店 雲

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容