夏の思い出

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「おばあちゃん、ありがとう」
お金を包んだポチ袋を仕舞うや、孫たちはスマホの画面に視線を戻した。
遠い所を来てくれても、一日中スマホに釘付け。あの小さい画面の中に世界のすべてがあるみたい。
もっと小さい時はクラスや野球のことを話してくれたのに。
鳴き替わる蟬、庭の木槿や朝顔、その葉先を掠めて飛ぶ蝶、夕立の後に架かる虹、世界の彩りに気づく日は来ないのかしら。
ピンポーン。呼び鈴が鳴って、私は荷物を受け取りに行った。差出人を見ると、息子夫婦の名前だ。
「届いたみたいだね、おばあちゃん。開けてみて」
スマホから顔を上げた孫に急かされ、戸惑いながら、開けた中身はフットマッサージャーだ。
「ママたちと相談して選んだの。足痛がってたでしょ」
考えてくれてたんだ。。。
「ありがとう。ねえ、今夜西瓜切った後、手花火しようよ」
もちろん、本物の花火だ。
私がいなくなっても、花火の匂いで思い出してくれたら…
その他
公開:19/08/11 08:00
お盆帰省 世代間ギャップ 希望

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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