迷作昔話#3 三枚のお札

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小僧は和尚から貰ったお札を急いで出し、その内の一枚に
「おらの代わりに返事してくれろ!」
と念じると、便所を抜け出し全速力で山を下っていった。
鬼婆は何度聞いても用足しの終わらない小僧を怪しみ、綱を強く引っ張った。
すると便所が崩れ、中から大量の蚊が飛んできた。鬼婆は蚊の媒介する黄熱に罹ってしまった。

しかしそれでも鬼婆は追ってきた。
小僧は二枚目のお札を取り出し、叫んだ。
「鳳凰さ、出ろ!」
するとお札の裏の鳳凰の絵が実体化し、鬼婆に向かって火を吐いた。
ところが鬼婆はその火を吸い込み、再び走り出した。

小僧は最後のお札を取り出し、
「本の山さ出ろ!」
と叫んだ。
すると小僧の後ろに山積みの本が現れ、鬼婆の行く手を阻んだ。
しかし鬼婆は吸い込んだ火を吐き、本を焼き払ってしまった。

その時、地面から守礼門が出現し、鬼婆は吹き飛んだ。

小僧は言った。
「あっ、二千円札忘れてただ。」
ファンタジー
公開:19/11/12 13:36
更新:20/07/20 23:09
首里城再建を願って 迷作昔話シリーズ

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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