円柱と消しゴムとホクロ

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 終電で真夜中の渋谷駅。今日の現場は渋谷マークシティ。イーストエントランスに並ぶ円柱を、一本一本綺麗に磨いていく清掃作業だ。
 柱上部を磨く小型リフト部隊を追いかけて、僕ら地上部隊が下半分を仕上げていく。作業中、僕は洗剤で落ちない黒いシミを見つけた。
「親方ぁ、これ研磨パッド使っていいすか」
 どれどれ、と親方がシミを見る。「あぁ、これホクロ」
「ホクロ?」
「そう、人間のと一緒で柱のホクロ。また見つけたらこの消しゴムで擦って消えなきゃそのままでいいよ」
 僕は円柱を消しゴムで擦りながら、ホクロを見つけていった。そして出会った。
「親方ぁ!」
「あ?」
 い、いやダメだ。抜きたい!
 僕は柱のホクロから生えている一本の毛を摘み、抜いた!

 ズッポオオオオン!!

 もの凄い轟音に呑まれ、渋谷の街が戦慄した。皆で外に出ると、109の巨大円柱が激しく火を吹きながら、宇宙の彼方へ飛んでいった。
SF
公開:19/11/12 21:48
更新:19/11/15 05:27
渋谷 渋谷マークシティ 109

10101298

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