透明時空帆船
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幼い頃、部屋から窓の外を見ると、空に透明な帆船が浮かんでいた。
船は白い雲と一緒に風に乗って動いていたが、いつのまにか消えていた。それからも時々見かけた。遠かった船が僕の方へ近づいてきているように見えた。
夜、風を感じて目を覚ますと目の前に船の姿があった。透明な船はゆっくり動いていた。甲板には別の僕がいて、僕の方へ手を伸ばしていた。キラキラ瞬く光にあふれた別の僕が、僕に向けて優しくほほえんでいた。僕もそちらの方へと手を伸ばしたが、触れそうなほど近づいたのに、触れられずに遠ざかっていった。薄れていく船を見送りながら、あの船には乗れないことを悟った。
それから、僕は靴を履き、扉を開けて外へ歩きだした。
船は白い雲と一緒に風に乗って動いていたが、いつのまにか消えていた。それからも時々見かけた。遠かった船が僕の方へ近づいてきているように見えた。
夜、風を感じて目を覚ますと目の前に船の姿があった。透明な船はゆっくり動いていた。甲板には別の僕がいて、僕の方へ手を伸ばしていた。キラキラ瞬く光にあふれた別の僕が、僕に向けて優しくほほえんでいた。僕もそちらの方へと手を伸ばしたが、触れそうなほど近づいたのに、触れられずに遠ざかっていった。薄れていく船を見送りながら、あの船には乗れないことを悟った。
それから、僕は靴を履き、扉を開けて外へ歩きだした。
その他
公開:19/11/12 18:46
Twitterでは140字小説、カクヨムでは掌編を書いてます。別のペンネームで小説家になろうで短編を書いてます。
せつなくてさみしいけれどほんのりあたたかいおはなしが好き。
たまにこちらにも書いてみようと思います。
よろしくお願いします!
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