渋谷ミルキーウェイ

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私は雨が嫌いだ。空が暗くなると気持ちまで暗くなるし、あのジメッとした空気は不快感を感じさせる。外出する時には傘を持ち歩く必要もある。本当に、雨なんて百害あって一利なしだ。

あの日もそんな夜だった。天気予報が外れ、私が学校から帰る時に雨が降っていたのである。憂鬱だった。学校の購買で傘を買い雨の中帰路に着いた。

湿った気持ちを紛らわせるために本を買って帰ろうと思い、地下道から本屋へ向かう。気になる本をタイトルから選んで購入し、駅に向かおうと本屋を出た。

雨は上がっていた。それだけじゃない、この時私は初めて雨が嫌いじゃなくなった気がした。濡れたアスファルトに反射する無数の光。ただでさえ綺麗な都市の夜景を、雨はより一層飾り立てる。キラキラと輝くスクランブル交差点は、さながら地上を流れる天の川のようだった。

信号が青になる。私は天の川を歩いて渡る。

雨も悪いことばかりじゃないな。
その他
公開:19/11/12 17:27

有栖 聖( 千葉・東京 )

都内の大学に通う大学一年生(19)
名前の読みはありす ひじり
執筆ジャンルは純愛多めです。

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