終わりの始まり

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「また、間違ったのかな」
煌びやかなネオンの輝く繁華街をゆったりと歩きながら呟いて空を見上げた。
ビルの間から見える真っ暗な夜空には星なんてひとつも見えなくて、
小さなため息を吐いたと同時に両目から涙が溢れた。
この街に溢れる人たちは私のことなんて気にも留めずに動いていて、
それがまた心臓の奥の方をぎゅっと締め付けた。
生温い風だけが、私を包んで通り過ぎた。
振られたくらい、皆はそう言うかもしれないけど、
私にとっては、運命なんて陳腐な言葉も信じてしまうくらい大事な恋だった。
この街のどこかにあの人がいるかもしれないだなんて、みっともない悪あがき。
スクランブル交差点を真っ直ぐに突き進みながら、大きく深呼吸をした。
泣くだけ泣いたら真っ直ぐ前を見よう。
あの人との思い出は、全部この街に置いて行こう。
大丈夫、私はきっと立ち上がれる。
キラキラと光るネオン街が応援してくれたような気がした。
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公開:19/11/11 14:35
更新:19/11/11 14:36

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