「おそまつ」

閉ざされた空間の中、鋭く不揃いな物体に阻まれていた。時折、強い震動が起こる。一刻も早く此処から脱出する必要がありそうだ。
策略を練っていると、唐突に光が射した。息苦しさを伴う空気が一気に開放されていく。阻んでいた物体が緑色の壁面だと判明した。
上空から黄色い粒子が降り注ぐ。黒い微細な矩形も見受けられた。有害物質か。避けようにも纏わり付く。妙な昂揚感が身を貫いた。
破裂音が響く。迫る棒状の影が二つ。天変地異の前触れか。影が緑色の壁面の向こう側に着弾した。未知なる世界で鳴る崩壊の序曲。
焦げ茶色の球状の物体。表面に粘り気のある液体。其れが宙を浮遊する。斯くなる上は囚われの身か。視線の先で強大な闇に消えた。
標準が此方にも合わされた。未曾有の大災害。成す術なし、と言ったところか。此れも天命。抗う事なく従おう。この世に、幸あれ。

おそい！
まって！
最後に残ったのは一粒の米と、バラン。
お粗末。