『吸い込まれる』 灸魔の壺

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ある骨董屋で柄の悪い男は壺を見ていた。
古びた壺で、何やら怪しい文様が刻まれた壺だ。しかし何か入っているのか蓋が厳重に、幾重にも錠がされていた。
男は訊ねる。
「おい主人。この壺は何が入っているのか」
仙人のような店主が穏やかに答えた。
「はい、それには古よりの妖、魑魅魍魎が封じられております。ですから、それを開けることは罷り成りません」
男は不意に思う。
そんなモノを何故売っているのか?しかも妖だって?そんなモノがいてたまるものか。
と思い、次いで意地の悪い考えが浮かぶ。この壺の嘘を暴いてこの店を困らせてやれ。
「面白い。よし、この壺をくれ」
お望みならば、と主人は格安でその壺を譲ってくれた。

男は帰るとさっそく壺の錠を解いた。
だがその瞬間。
しゅごおおおおおおおっ!
と強い力で壺に吸い込まれる。
殺人未遂も含め前科六犯の男は気付く。この壺は妖ではなく、悪人を封じる壺なのだと……。
ホラー
公開:19/11/11 21:45

とーしろさん

はじめまして~。
いつだって初心で、挑戦者のこころでぶっ込みたい素人モノ書きです。

沢山の方々に支えられ、刺激を与えられ、触発されて今日ももちょもちょ書いております。
一人だけでは生み出せないモノがある。
まだ見ぬステキな創造へ、ほんの少しずつでも進んでいきたい。

ショートショートというジャンルに触れる切っ掛けをくださった、
月の音色と大原さやかさんを敬愛し感謝しております。

興味をもって読んでくださる全ての方にも、ありがとうございます~^^

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