ネーミングライツ

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「うちの社名が、公共の名前になったぞ」
と某会席で、A社長は、B社長に自慢された。B社長は、ネーミングライツを使って、体育館に自社名をつけたそうだ。
一ヵ月後。A社長は部下と、会社のPR会議をしている時に、それを思い出した。Aの会社では、威張るノウハウを提供している。
偶然、部下の一人がネーミングライツ策を温めていた。献血中央センターを候補先に挙げた。Aは、契約を部下に指示した。

翌日。新聞記事を見て、Aは顔を肝を冷やした。「これからネーミングライツする企業は、サービスのイメージを、名をつけた施設と一致させなくてはならない」と書いてある。施設と施設名のイメージの合わない建物が、世の中に多すぎるせいだ。

が、Aの会社は、昨日に契約を済ませたからセーフ。映画で流血シーンが苦手なAが、人の血を扱う必要はない。今までどおり威張るノウハウだけを売っていればいい。
その他
公開:19/11/11 20:31
更新:19/11/13 16:28

久保田 人月

よろしくお願いします。
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