赤あおき

散歩中、藪の木に張ってた。ザ・蜘蛛！なビジュアルのジョロウグモ。
……でけぇ。肢も入れれば５ｃｍ級の、ダイナマイツ・バディー。別に人間に害を与えるわけじゃない、むしろ益虫なんだと言い聞かせても、あんまり好きになれないジョロウグモ。そそくさ通り過ぎるつもりが、彼女の巣の向こうに、色付き始めたアオキの実。
何か色が似てる。緑に先っぽが赤くなったアオキと、クモの腹の下、特長的な赤い模様。示し合わせたみたいに配分が一緒。ちょっと卵っぽくないか？カメラを向けると、肢広げて身構える。子供を護ろうとするお母さんに見えて、興味本位で驚かして、悪かったと思う。
よほどの暖地以外、大多数は、冬前に死んじまうんだな。彼女がお母さんでもそうでなくても、あと少し。北風に揺れる糸を眺め、センチに浸る。
ばいばい、と手を振ったら、ちょいちょい、と振り返された気がした。
散歩を切り上げ、俺も彼女の家にダッシュで向かった。