飲み屋を歩く

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男は憮然としている。
今となってはただの紙切れとなってしまったチケットを手に、どこに怒鳴り込んでやろうかと考えを巡らせていた。
隣町の飲み屋街で、「飲み屋祭り」なるものを開催していると知ったのはつい先週のこと。
加盟店ならどこでも最初の一杯が百円になるという先払いのチケットが駅前に売られていたのだ。
こいつはいい。だったらたっぷりとチケットを買って、思う存分飲み屋巡りをしようじゃないか。
そして、今週。
男はチケットを持って店に入るが、ウチはもう期限が終わりましたと門前払い。そんなことが三回続いてさすがにおかしいと思った。どうも男の買ったチケットの有効期限に表記のミスがあったようだ。
これじゃ丸っきり詐欺じゃないか。
男は煮え切らない気持ちになるものの、街中で騒いだところで返ってくる金は高々知れている。
男はチケットを握り潰し、この煮え切らない気分を忘れるために、とりあえず飲み屋に入った。
その他
公開:19/11/11 18:13

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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