あの時の音色

0
4

ある夜、美しい音色に誘われたユニコーンは星見の丘に現れた。
彼が出会ったのは一人の少女。少女の奏でる笛の音に彼は心奪われた。
「おい女、明日もここに来てその音を聞かせろ」
彼の命令に少女は頷きました。神の使いであるユニコーンの命令に誰が逆らえましょう?
少女はその日から毎夜、山に登っては彼に笛の音を聞かせました。
しかしある雨の夜、少女は山で足を滑らし帰らぬ人となった。
彼は落ち込んだ。己の傲慢さを悔いた。
彼は時折、星見の丘に現れては虫や鳥の歌声を聞いては寂しさを紛らわそうとする。しかし虚しさは増すばかりだ…
あれから数百年、彼は星見の丘からあの時の音色が流れている事に気付いた。
急いで星見の丘に行くとそこにいたのは幼い少年。
彼は気付いた。それは少女の生まれ変わりだと。少女は虫に鳥に生まれ変わっても彼のもとに来てくれていたのだと。
彼は涙し、生まれて初めて謝罪と感謝の言葉を口にした。
ファンタジー
公開:19/11/09 18:28

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容