飲酒条件

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 酒が飲めないわけではないが、会社の忘年会などに出席したことはなかった。影が薄いせいか、そもそも誘われないという理由も多分にある。
 周囲に対しては下戸ということで通している。幸いにして大学と就職先は飛行機の距離で、俺のことを知っている人間がいない。

 俺には特殊な才能があることを大学時代に発見し、それをこっそり副業にしているため、日々は充実している。音もたてずに相手に近寄れることを活かした仕事。報酬は飛びぬけていいことが多い。
 平凡な、それでも楽しくサラリーマンをすることができるのは、この副業のおかげかもしれない。会社には親が金持ちだからということにして、豪華なマンションで贅沢な生活。

 副業の依頼を完遂したときだけ酒を飲むことにしている。
 このときばかりは興奮を抑えることができないのだ。美酒に酔い、そして眠りにつく。翌日、しがないサラリーマンを演じるために。
その他
公開:19/11/10 17:25

fnro6( こことtwitter(@fnro6)と他にもいろいろ )

書いたり描いたりすることが好き。
ただし気分屋でムラがあるからいつも書いたりしているとは限らない。

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