ゾンビーズライフ

ゾンビになって日が経った。今は徘徊を続ける毎日である。

体の自由は失われ、牛歩で足を引きずりながら歩く。
口から出るのは「あーうー」という不明瞭な声、同じく感染した仲間を見ては親近感を覚えるだけの日々。

世界の荒廃のためか生きた人間も見なくなり、溢れる飢餓感や食欲を抑えながら「あーうー」する生活。
いつしか顔馴染みとなった仲間と目線で挨拶し合ってはフラフラとすれ違い、活気の失せた街を目的も意義もなく歩いている。

そんなことを繰り返している間に、不思議と食欲や飢餓感は薄れていった。
あれだけ欲していた人間を求めることもなくなり、今の俺は徒歩移動するだけの健康優良ゾンビと化していた。

今日も人間の姿はなく、されど日は暖かく、お散歩にはもってこいの日和である。
最近知り合ったジョンと目礼し、息絶えた街を「あーうー」とグダグダしながら徘徊し続ける。

これがゾンビ的スローライフである。