タコ焼き指南

18
13

らっしゃいっ!
「…6個。醤油で」
へいっ。待っててよ。

毎日やってるとさ、まあ色々あるよね。そういや昔、毎日鉄板で焼かれて嫌んなるって歌が流行っただろ?あんなの贅沢だよ。だってあいつら泳げるんだろ?鯛だもんな。

…おっと返しか、よしきた。くるっ。

何の話だっけ?ああ、鯛焼きの奴らが贅沢ってね。こちとらまんまるのタコ焼き、水に入っても転がるのが精一杯よ。へん、マリモじゃあるまいし。

…ほら、どうだい。いい匂いだろう。たまんないね。

カリッと焼けたタコ焼きに、無愛想な大将が黙ってさっと醤油をぬり、鰹節を手早く散らす。
「…どうも」
これまた無口な客が受け取り、ひょいと1個口に放り込む。
「あふっ!あふふっ!」
はは、顔真っ赤にして口とがらせて。兄さんがタコになってどうすんだい。そういう食べ方はさ、3個めあたりからやるもんだよ。
鉄板に並んだタコ焼きがしゅうしゅうと音を立てて笑った。
その他
公開:19/11/08 19:42

秋田柴子

お立ち寄り頂き、ありがとうございます。

2018年より創作を開始。
  東京新聞300文字小説が主戦場。
2019年は初めて他の文学賞に応募。
  11月よりSSGの住人
2020 年は短編小説の文学賞にも応募。

https://twitter.com/CNecozo

東京新聞300文字小説 優秀賞

ベリーショートショートマガジン
『ベリショーズvol.5』
初めて掲載して頂きました。
Kindleにて完全無料販売中です。
よろしければぜひご覧下さい!
https://www.amazon.co.jp/dp/B087N1Q3ST/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_U1LPEbFN1KNN7

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容