8
11
雨が降る日は、校門の前に青い傘の少女が立つ。
しばらくすると、うちの男子生徒が傘の中に入り仲良く歩いていくのだ。
「ちぇっ、相合傘かよ!」
彼女の居る奴は羨ましいな⋯⋯と思っていたが、傘の中に入っていく男がいつも別人であることに気がついた。
恋多き女なのだろう。
一度だけ傘の下から覗いた彼女の口元は、真っ赤な唇をしていた。
何週間かが過ぎ、また雨の日が訪れた。
今日も青い傘を差して少女が立っていたが、なかなか男が現れない。今回のお相手が気になったが、ぼくもそろそろ帰る時刻だ。
だが帰り支度をしていると、折りたたみ傘を忘れていることに気がついた。仕方ないので走って帰ろうと校門までやってくると、件の少女はまだ立っていた。
甘い香りがした。
吸い寄せられるように彼女の傘に近付き、中へ入る。
真っ赤な唇。
白い牙。
ぼくは彼女と歩きながら、青い傘が真っ赤な色に染まっていくのを感じた──。
しばらくすると、うちの男子生徒が傘の中に入り仲良く歩いていくのだ。
「ちぇっ、相合傘かよ!」
彼女の居る奴は羨ましいな⋯⋯と思っていたが、傘の中に入っていく男がいつも別人であることに気がついた。
恋多き女なのだろう。
一度だけ傘の下から覗いた彼女の口元は、真っ赤な唇をしていた。
何週間かが過ぎ、また雨の日が訪れた。
今日も青い傘を差して少女が立っていたが、なかなか男が現れない。今回のお相手が気になったが、ぼくもそろそろ帰る時刻だ。
だが帰り支度をしていると、折りたたみ傘を忘れていることに気がついた。仕方ないので走って帰ろうと校門までやってくると、件の少女はまだ立っていた。
甘い香りがした。
吸い寄せられるように彼女の傘に近付き、中へ入る。
真っ赤な唇。
白い牙。
ぼくは彼女と歩きながら、青い傘が真っ赤な色に染まっていくのを感じた──。
ホラー
公開:19/11/08 16:09
更新:19/11/08 16:29
更新:19/11/08 16:29
(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
https://twitter.com/ShaTapirus
https://www.instagram.com/tapirus_sha/
http://tapirus-sha.com/
ログインするとコメントを投稿できます