霊験あらたか
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「あの山にはな、傷によく効く温泉があちこちに湧いておるのじゃよ。もっとも山に入るには相当の度胸が要るがの…」
村の古老の意味ありげな物言いにそそられた僕は、翌朝竹の杖を片手に、件の山に足を踏み入れた。
しばらく登ると小さな湯だまりがあり、大怪我をした猿が湯に浸かっていた。猿は僕を見ると弱々しく笑った。
「大丈夫、いつか治るから」
先に進むと、少し大きな湯だまりに傷ついた犬が入っていた。犬は小さく笑った。
「大丈夫、きっと治るから」
更に登ると、キジがお湯の流れに足をつけていた。
キジはにっこり笑った。
「大丈夫、すぐに治るから」
猿・犬・キジときたら…。期待に胸を膨らませ、僕は更に奥へと分け入った。
またも湯けむりを見つけて足早に近づくと、そこには大勢の鬼が湯に入っていた。鬼たちは僕を見ると、満面の笑みで一斉に立ち上がった。
「大丈夫、もう治ったから」
僕の手から杖が音を立てて滑り落ちた。
村の古老の意味ありげな物言いにそそられた僕は、翌朝竹の杖を片手に、件の山に足を踏み入れた。
しばらく登ると小さな湯だまりがあり、大怪我をした猿が湯に浸かっていた。猿は僕を見ると弱々しく笑った。
「大丈夫、いつか治るから」
先に進むと、少し大きな湯だまりに傷ついた犬が入っていた。犬は小さく笑った。
「大丈夫、きっと治るから」
更に登ると、キジがお湯の流れに足をつけていた。
キジはにっこり笑った。
「大丈夫、すぐに治るから」
猿・犬・キジときたら…。期待に胸を膨らませ、僕は更に奥へと分け入った。
またも湯けむりを見つけて足早に近づくと、そこには大勢の鬼が湯に入っていた。鬼たちは僕を見ると、満面の笑みで一斉に立ち上がった。
「大丈夫、もう治ったから」
僕の手から杖が音を立てて滑り落ちた。
その他
公開:19/11/08 11:11
2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnote・TALES・公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません
【活動歴】
・第2回 日本おいしい小説大賞 最終候補(小学館)
・第31回やまなし文学賞 佳作『雨を知るもの』
・創作大賞2025 入選 『栗と牡丹』
・SSアンソロジー『ベリショーズ』寄稿
・ホラーアンソロジー『ウタ・カタ』寄稿
【刊行】
・第31回やまなし文学賞受賞作品集(山梨日日新聞社)
・栗は月色、こがね色 和菓子処長月堂(朝日文庫)
【note】
https://note.com/akishiba_note
【Twitter】
https://twitter.com/CNecozo
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