守られし者

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笠地蔵っていいなあ。
少年は昔話の本をぱたりと閉じた。
売れ残りの笠を被せてあげただけで、あんなにたくさんのおみやげくれるんだぜ?すげー太っ腹だよな。

翌日から少年は、通学途中にあるお地蔵さんを毎日お参りした。晴れの日は手を合わせ、雨の日はタオルでお地蔵さんの顔のしずくを拭った。
でも待っても待っても、お地蔵さんがたくさんのおみやげを持ってくることはなかった。

なーんだ、やっぱただのお話かよ。
少年はいつのまにかお参りをやめてしまった。

もうすぐ家だ。腹減ったな。
少年が家の手前の横断歩道を走って渡ろうとした時、突然履いている靴の紐がほどけた。
「なんだよ、もう…」
少年が屈むと同時に、目の前の道を猛スピードの車が通り過ぎていった。下を向いていた少年は全く気づかず、すぐに立ち上がると横断歩道を走り渡っていった。
…おう、間に合ったわえ。
遠くでお地蔵さんが小さく小さく微笑んだ。
その他
公開:19/11/09 15:19
更新:19/11/09 17:40

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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