渋谷ゾンビー街
2
6
「奥さん、両方落ちていますよ」
「あらやだ。だから見えなかったのね!」
ここは、かつて渋谷センター街と呼ばれていた場所。快活な若者で溢れていたこの場所も、今では酷い臭気に満ちている。
「兄さん、片方落ちていますよ」
「おぉ。どうりで聞こえにくいわけだ!」
スクランブル交差点を腐敗したゾンビたちが行き交う。しかも、あちらこちらに体の一部を落としていくから困りものだ。
「おネエさん、落ちていますよ」
「……。…………!」
だから俺はこうして警備をしている。好きでやっているわけではない。長年ここを見てきた俺にお鉢が回ってきただけの話だ。
「ワンちゃん、落としてるよー」
「おう、ありがとな。でも……」俺は交差点の正面にある、年中ハロウィンイベントで盛り上がっているオバQフロントを眺め、呟いた。「これでいいのさ。俺のは人一倍、敏感なんだ」
俺はここでハナのある日常が戻る日を、ただただ待ち続けている。
「あらやだ。だから見えなかったのね!」
ここは、かつて渋谷センター街と呼ばれていた場所。快活な若者で溢れていたこの場所も、今では酷い臭気に満ちている。
「兄さん、片方落ちていますよ」
「おぉ。どうりで聞こえにくいわけだ!」
スクランブル交差点を腐敗したゾンビたちが行き交う。しかも、あちらこちらに体の一部を落としていくから困りものだ。
「おネエさん、落ちていますよ」
「……。…………!」
だから俺はこうして警備をしている。好きでやっているわけではない。長年ここを見てきた俺にお鉢が回ってきただけの話だ。
「ワンちゃん、落としてるよー」
「おう、ありがとな。でも……」俺は交差点の正面にある、年中ハロウィンイベントで盛り上がっているオバQフロントを眺め、呟いた。「これでいいのさ。俺のは人一倍、敏感なんだ」
俺はここでハナのある日常が戻る日を、ただただ待ち続けている。
その他
公開:19/11/09 15:00
渋谷
まったり。
2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)
壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)
ログインするとコメントを投稿できます