わたしをくるむもの

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私は念願の新婚生活を満喫している。毎日、妻といるだけで幸せだ。妻の愛のオーラに包まれているお蔭かも。
まあ、不満があるとすれば妻に財布の紐を握られている事。
だから、今日こそは亭主らしく妻にガツンと言ってやろうと思う。
「サヤカ、ちょっと時間あるかな。君に話したい事があるんだ」
「あら、偶然ね。私もあなたに言いたい事があったのよ」
「それじゃ、君の話から聞くよ」
「ありがと。あなた、突然だけど、この書類にサインして貰えませんか。私のサインはもう書いてあります」
「ま、まさか離婚届」
「違うわよ。保険の契約書」
「なんだ。びっくりした。んっ、死亡保険金 五億円。これ高すぎなんじゃ」
「馬鹿ね。金額の大きさはあなたへの愛の大きさよ。もし、あなたに何かあったら私は自殺してしまうかも。ワ~ン」
「何も泣く事はないじゃないか。分かった。サインするよ」
(ふっ、ちょろいわね。あなたを言いくるめるのは)
公開:19/11/09 11:39

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