預言者さま(2)

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夜明け前、私は村から程近い小山に登り、黙想の時間を持つ。若い頃からの習慣だった。あの当時よく「ラビは神に祈っておられる」と言われた。先生という意味だ。

石造りの家へ戻り、いなご豆の粗末な朝食を摂る。すると、朝陽が低く射し込む窓から、ロバの子が鼻先を覗かせるように、村の少女たちが顔や頭を並べて見せる。「おはようございます、スーシェさま」「預言者さま、きょうもお話を聞かせて下さいなー」

食卓を片付け、私は彼女らを家の中へ招いた。小さな羊の群れがそぞろ歩く姿が脳裏に蘇る…。
少女たちが乞うまま私は幾つかの譬え話を聞かせる。家出をした放蕩の息子、強盗の手に落ちて怪我をした旅人。いずれも私の創作ではない。我が幼き日々に教えられた伝承だ。

彼此30年にもなる。多くの預言者がそうしていたように、昔は私も弟子たちを連れて国中を歩いた。
私自身が神を尋ね求めていた。だが、とうとう見つからなかったのだ…
ファンタジー
公開:19/11/09 09:07
更新:19/11/09 14:42

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や余韻が残る作品を目指しています。
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