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立ち食い蕎麦を食べていると店主がやってきて「金はいいから帰ってくれ」と言われた。
「な、なんでですか?」
「箸の持ち方がムカつくんだ。俺も、みんなも」
周囲を見渡すと、客全員が俺を睨んでいた。スマホをむけている者もいた。彼らはみんな、片手に箸を三本持って食事をしていた。
俺はそそくさと蕎麦屋を出て会社に戻った。すると部長に呼び出され、SNSの動画を突き付けられた。蕎麦屋の動画だった。顔は切れているが社員バッジが映っていた。
「こんな箸の持ち方をする社員のいる会社とは取引したくないといわれた。君には二週間の自宅謹慎を命じる。その間に箸の持ち方を直せなければ首だ。そして損害賠償を請求する」
それで俺は、必死で正しい箸の持ち方をマスターした。
という夢を見たよ。と朝の食卓で妻に話すと、妻は「へんな夢」と笑った。
だが俺は、俺の前に二本しか箸を置かない妻に、激しい苛立ちを覚えていた。
「な、なんでですか?」
「箸の持ち方がムカつくんだ。俺も、みんなも」
周囲を見渡すと、客全員が俺を睨んでいた。スマホをむけている者もいた。彼らはみんな、片手に箸を三本持って食事をしていた。
俺はそそくさと蕎麦屋を出て会社に戻った。すると部長に呼び出され、SNSの動画を突き付けられた。蕎麦屋の動画だった。顔は切れているが社員バッジが映っていた。
「こんな箸の持ち方をする社員のいる会社とは取引したくないといわれた。君には二週間の自宅謹慎を命じる。その間に箸の持ち方を直せなければ首だ。そして損害賠償を請求する」
それで俺は、必死で正しい箸の持ち方をマスターした。
という夢を見たよ。と朝の食卓で妻に話すと、妻は「へんな夢」と笑った。
だが俺は、俺の前に二本しか箸を置かない妻に、激しい苛立ちを覚えていた。
その他
公開:19/11/09 08:11
更新:19/11/09 08:19
更新:19/11/09 08:19
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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