”それ”が見えてしまったからおしまい

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ある雨の日、私は黄色いレインコートを着て外に出た。
ん?排水溝のほうが何か騒がしい。どうしたんだろう?
そこで私は”それ”を見てしまった。
一人の男が排水溝で衰弱した猫を助けていた。
「すみません。助けを呼んで貰えませんか?」
呆れた。猫を助けたはいいが、出られなくなったのか。
私は助けを呼び、男と猫は無事救助された。
はぁ…何であんな男に見えてしまったのだろう…私は自分の小指を見た。
彼の小指へと真っ直ぐにその糸は伸びている。もし、ここで彼と出会わなければ、私にはもっと違う可能性があっただろう。
彼みたく何の特徴もない情けない男ではなく、凛々しくて金持ちのイケメンに運命を感じる可能性もあったはずだ。
とても残念だが後悔はしていない。だって彼ほど誠実な人にこの先出会えるか分からないから。
結婚は人生の墓場という。赤い糸が見えてしまった私は彼の名字である柊姓を要石に名前を刻むことになった。
公開:19/11/07 18:50

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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