ティーチングロボット

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ティーチングロボットを買った。

足りない教養を補ってくれるらしい。一般常識、英語、専門分野まで、頭脳を分析し、能力を上げてくれるのだ。

おれは『マナブ』と名付けた。
「ハルト。よろしくな」
「タメ口かよ。ま、よろしくマナブ」
マナブは胸ポケットから赤いカードを取り出した。
「気に入らないなら、このカードをポケットに差し込んでくれ。一年以内なら返品可能になる」
「レッドカードか」

マナブから教養を学び、上司から褒められるようになった。マナブもまたおれを学習していた。

マナブはおれを知りすぎた。性格を見抜かれると、その存在が鬱陶しくなってくる。反発すると「おまえのためだ」と、まるで親父みたいに言う。

おれは返品を何度も考えた末、カードを差し込んだ。
「明日で一年目だったよな」
「悪かったなハルト。じゃあな」
マナブは、目からオイルを流していた。

赤いバースデーカードを見つめながら。
SF
公開:19/11/07 18:42
更新:19/11/08 12:52
スクー 教養を求めるレッドカード

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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