SNSのSさん
2
5
高校二年生の私は、ある日急激に死にたくなった。
親や弟に「口だけだろ」と言われた悔しさで、実名でSNSを始めた。
日々「死にたい」と綴った。
すると一人だけ私を励ましてくれる人がいた。
Sさんというその人は、毎日親身にコメントをくれた。
いつしか死ぬ気は自然に失せ、Sさんとはメッセージをやりとりする友人になった。
ある日、弟が病に倒れた。
余命半年と診断され、私はSさんに
「私の時のように弟を励まして欲しいんです。弟はSNSを馬鹿にしていて見ないので、会いに来て貰えませんか」
と頼んだ。
「ごめんなさい、お会いできません」
「大事な弟なんです。あなたなら勇気づけられると思うんです」
「ごめんなさい」
Sさんは頑なだった。
私は泣き、Sさんを恨んだ。
毎日弟に面会に行き、彼が力尽きた時は、喉が枯れるまで泣いた。
弟が死んで一ヶ月が経つ。
Sさんのコメントは、それきり止まっていた。
終
親や弟に「口だけだろ」と言われた悔しさで、実名でSNSを始めた。
日々「死にたい」と綴った。
すると一人だけ私を励ましてくれる人がいた。
Sさんというその人は、毎日親身にコメントをくれた。
いつしか死ぬ気は自然に失せ、Sさんとはメッセージをやりとりする友人になった。
ある日、弟が病に倒れた。
余命半年と診断され、私はSさんに
「私の時のように弟を励まして欲しいんです。弟はSNSを馬鹿にしていて見ないので、会いに来て貰えませんか」
と頼んだ。
「ごめんなさい、お会いできません」
「大事な弟なんです。あなたなら勇気づけられると思うんです」
「ごめんなさい」
Sさんは頑なだった。
私は泣き、Sさんを恨んだ。
毎日弟に面会に行き、彼が力尽きた時は、喉が枯れるまで泣いた。
弟が死んで一ヶ月が経つ。
Sさんのコメントは、それきり止まっていた。
終
青春
公開:19/11/07 16:03
ログインするとコメントを投稿できます