満ち欠けパレード

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「わぁ、綺麗だー」
満天の星空のもと、彼女が声を上げた。
「お前の方が綺麗だよ」そう言おうとした時だった。
「見て見て。お月さんがパレードしてるよー」
「パレード?」
僕は首を傾げながら空を見上げた。
確かに月は出ている。満月だろうか。しかしパレードとはどういう事だ?
「ほらほらー」
「月はひとつ、だけど?」
「なに言ってるのよ、パレードしてるじゃん」
彼女の言っている事が理解できない。
「どういう事?」
「見えてないの? いろんなお月さんがクルクル回ってるよ」
「いろんな……」
僕は目をこらす。
「新月、三日月、上弦の月、十日夜、十三夜月、小望月、満月、十六夜、立待月、居待月、寝待月、更待月、下弦の月、二十六夜、三十夜かな?」
「なるほど……」月の満ち欠けってやつか。でもそれが見えている?「お前、どんなスピードで見えてんだ?」
僕はチラリと彼女の顔を見る。その顔は心なしか老けて、見えた。
その他
公開:19/11/07 22:57
パレードする月 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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