節目を蹴り破る

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節目の世界を生きている。

おまえは部屋に寝っ転がったまま、目もくれずに雑誌を捲る。なんだその体たらくは。余裕綽々が羨ましく、実に腹立たしい。
深夜に帰宅すると、一度だけ気持ちが収まらなくなって手を上げた。
「あんたなんていないほうがよかった」
誰が産んでやったと思ってんだ。俺でないことは確かだ。言葉を失い、想い出と将来の狭間に跪いた。

あれから、おまえには本当に俺が見えないのか。仕事から帰ると、カップに焼酎を注いで部屋へ逃げ込む。酔った勢いで憤る。出ていけ。臑っかじり。誰が養ってやってると思ってんだ。確かに生んだのは俺ではない。当たり前だろう。それでも、それでも、なんなんだ。
手を伸ばしペンを握る。メモ帳に言葉を置いて気を沈める。そうして、いくつもの台詞をしたためてきた。
ある日、俺は焼酎を生で呷って、ドアを蹴り破る。そして、天リングメモを片手に声を上げた。
「俺と親子になろうぜ」
ファンタジー
公開:19/11/07 22:38
更新:19/11/07 23:21

puzzzle( 神奈川19区 )

作文とロックンロールが好きです。
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