見つめた客席に、君はいない。

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「サッカーいいなぁ、俺もしたい」
そう小さく呟きながら、病室の窓からつまらなさそうに毎日眺めてたの、知ってたよ?だから私は、卒業式の後でも幼馴染の駿の元へ足早に駆けつけた。
「やっほー、駿!調子はどう?」
『 おう。まぁ、ぼちぼちかな〜』
病室に入る直前、いつものように元気スイッチをオンにする。
『 ていうかお前、卒業式あとだって言うのにソッコーで俺の所来てもよかったのかよ?友達は?』
「あー、いいのいいの!クラス会はまた別の日にあるし、友達はみんな彼氏とデートなんだってさ〜」唇を尖らせ愚痴を垂れる私を見て、駿は笑った。
「そんな事より、今日は私から重大発表があります…!私、アイドル目指すから!」
『 はぁっ!?』

駿は、テレビ越しにアイドルを見つめた時、いつも笑顔だった。
だから私は、誓ったの。
私がアイドルになって、笑顔にさせてやるって。だけどもう、見つめた客席に、駿はいない。
青春
公開:19/11/07 00:07

りなりる( 九州 )

初めまして、りなりると申します*
普段は社会人として普通に働いています。

空いた時間にこちらで小説を投稿しつつ、
コバルト文庫やオレンジ文庫主催のコンテストに応募するための作品も別の所で制作しています。コメントやアドバイスなどありましたら是非お願い致します!今後の参考にさせて頂きます。⚠誹謗中傷はおやめ下さい

ファンタジー、恋愛、青春ものを主に書いていきます*

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