人生の節目(鮭の産卵編)

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 産卵を終えた鮭は身に締まりがなくおいしくないので
以前は捨てられていたが最近は鮭節として重宝がられているようだ。
 これはある村に伝わるお話である。
ある村人が川で鮭を捕っていた。網にかかった鮭を籠に入れようとした所、鮭が話しかけてきた「私はお腹に卵を持っています。せめてこの子たちを産むことだけはお許し願えないだろうか」「ダメだ。俺はお前を捕まえた。そのお前のお腹の卵も当然俺の物だ」すると鮭が答えます「もしあなたに好きな人が出来てその人と無理やり結婚したとして、その人の心もあなたの物になりますか、お腹の卵は私の心なのです」結局、村人はその鮭を放してやった。
一週間が過ぎ騙されたと思い始めていた頃、突然川が逆流し始める。
よく見ると鮭の群れだ。助けた鮭が仲間を連れてやってきたのだ。
鮭達は岸を上がり日差しの当たる所までやってきて自らの身体を乾燥させ、
そして固くなった。これが鮭節だそうだ。
ファンタジー
公開:19/11/06 23:12
更新:19/12/09 19:32

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