戦力外の芸術

国際芸術フェスティバルは、世界最高峰のアーティストが集う祭典だ。出場すれば富裕層からのオファーが約束されているようだ。出場するには芸術家がチームを組み、優勝しなければならなかった。

彫刻家のジャックは、チームから突然、戦力外通告を受けていた。
「なんで俺が……」

その主催者の男が訪ねてきた。
「やあジャック」
「なんの用だ」
「買いに来たんだ。君の腕をね」
「切断するのか？」
「ホルマリン漬けの鑑賞は興味ないんだ。作品を独占したいんだよ」
男は、札束の詰まったトランクを開けた。
「百万ドルある」
「それは右腕だけの値段か」
「わかった。左は後日だ」
「あと、作品を生み出す頭もあるぞ」
「なら、殺し屋を雇ってバラバラにしよう」
「両腕で交渉成立だ」

ジャックの娘は難病で入院していた。手術には大金が必要だったのだ。
「サラ。パパの腕で病気を治してあげるからね」
「パパ、お医者さまなの？」